レジリエンスを高める

レジリエンス向上の取り組み

レジリエンスを高める自然災害伝承碑の活用

日本は昔から、台風・津波や洪水、火山の噴火など、数多くの自然災害に見舞われてきました。災害の被害を減らすために、堤防や盛土の整備、ハザードマップの作成など、さまざまな取り組みが行われています。こうした取り組みの中で、近年注目を集めているのが、「自然災害伝承碑」の活用です。

自然災害伝承碑とは、 過去の津波、洪水、火山といった自然災害の被害状況などが記載されている石碑や像などのモニュメントのことです。古いものでは、千葉県の一宮町に1694年(元禄7年)に建立された「延宝の津波供養塔」があります。

自然災害伝承碑は、減災や防災にどういう形で役立つのでしょうか。例えば、広島県坂町では、2018年7月の西日本豪雨災害で死者行方不明者18名、全半壊家屋が1250棟を超える甚大な被害を受けました。実はこの土地には、1907年(明治40年)に起きた大水害の被災状況を伝える石碑があるのですが、 地域に暮らす人々にその伝承内容が十分に伝えられていませんでした。もし、過去に水害があったことを知っていれば、もっと早く避難できたかもしれません。

このような事例が各地にあることから、国土地理院では「災害への備え」を支援する取り組みとして、2019年度から自然災害伝承碑の情報を地図に掲載する試みをはじめています。

レジリエンスを高める災害対策

せっかく自然災害伝承碑があっても、その存在が地元住民に忘れられてしまう理由としては、建立してから長い時間が経っていることや、昔に比べると人口の移動が激しいといった理由が考えられます。あるいは堤防や盛土といった対策が進んだことによって、「もう災害は起こらないだろう」と安心してしまうことも一因でしょう。しかし、堤防が決壊してしまう事例や、盛土があるという安心感から避難せずに被害にあってしまったという事例も多数あります。堤防や盛土によって、通常の大雨の被害を防ぐことが出来たとしても、「100年に一度」といった規模の大きな災害を防げるとは限らないのです。

だからこそ、堤防や盛土といった技術を用いたハードな防災・減災対策とともに、ハザードマップの作成や自然災害伝承碑の活用、防災訓練などソフトな防災・減災対策を行うことが必要です。このように一つの手段に頼らず、複数の手段を備えておくことは、「冗長性を高める(※)」という意味でレジリエンスを高めることにつながります。 

国土地理院のサイトには2020年11月現在約650の自然災害伝承碑のデータが掲載されています。お住まいの地域のそばに自然災害伝承碑がないか調べてみてはいかがでしょうか?

※冗長性とは

冗長性とは、同じ機能を果たす構成要素が複数あることを指します。英語の格言に、「don't put all your eggs in one basket(卵を全部一つのかごに入れるな)」というものがあります。同じかごにすべての卵を入れてしまうと、そのかごを落としてしまったら、卵はすべて割れてしまいます。防災でも、一つの手段に頼らずに複数の対策を行うことで、「保険」をかけることができます。

参考資料
国土交通省国土地理院「自然災害伝承碑」(ウェブサイト)

 

農業の底力=「食料自給力」 にも注目!

「日本の食料自給率が約40%」という話は聞いたことがあるでしょう。食料自給率とは、「国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているか」を示す指標です。

これに対して、日本の「食料自給力」とは、、国内の農地等をフル活用した場合、国内生産のみでどれだけの食料を生産することが可能か(食料の潜在生産能力)を試算した指標です。その構成要素は、農地・農業用水等の農業資源、農業者(担い手)、農業技術 と整理されています。

 食料安全保障に関する国民的な議論を深めていくために、平成27年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、初めて指標化されました。

 平成25年度の食料自給力指標を見ると、現実の食生活とは大きく異なるいも類中心型(パターンC・D)では、推定エネルギー必要量等に達するものの、より現実に近い米・小麦・大豆中心型(パターンA・B)では、これらを大幅に下回る結果となっています。

 食料自給力指標は、日本の農林水産業が持つ「底力」を見るための指標です。計算上、作付転換に要する期間を考慮しない等の大胆な前提を置いているため、「いざという時にどれだけの食料を生産できるか」という能力を見る指標ではないと断りがありますが、食料自給力は近年低下傾向にあり、将来の食料供給能力の低下が危惧される状況にあるとされています。

将来の食糧供給能力を支える底力にも注目し、高める取り組みを進めていくことは、日本のレジリエンスを高めることにつながります。

 (出典:http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011_2.html

 

ユーロが使えなくてもコワクない!ギリシャの地域通貨の取り組み

経済危機に襲われたギリシャの港町Volosでは、2010年にTEMという地域通貨の取り組みが始まりました。各自の口座がオンラインで管理される方式で、参加メンバーはバウチャーの帳簿を受け取り、それを小切手のように使います。残高「ゼロTEM」からスタートし、モノやサービスを提供するとTEMを受け取ることができます。また、300TEMまでの貸出しを受けることも可能だそうです。

食べ物、語学のクラス、子守り、コンピュータのサポートなど、様々なモノとサービスが売買されているとのこと。また、物々交換の仲介として、青空市(マーケット)で、ユーロの代わりに使えます。1TEM=1ユーロです。そのマーケットでは、ユーロを持っていなくても、牛乳、卵、ジャムなど何でも買えます。

当初は50人ではじまったそうですが、この地域通貨を利用するメンバーは2012年4月の段階で800人以上まで増えているそうです。

「万一、ユーロが使えなくなっても、TEMがある!」ことで、地域のモノやサービスのやりとりを続けることができ、地域の経済や雇用を支えることもできるでしょう。地域のレジリエンスを高める素敵な取り組みです。

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