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レジリエンス・ニュース

【プロジェクト】ロックフェラー財団の「100のレジリエンス都市」プロジェクト、6年間の活動に幕:財団の支援は継続

2019年7月31日、「100のレジリエンス都市」プロジェクトは、6年間にわたる活動に幕をおろしました。ロックフェラー財団によるこのプロジェクトでは、世界中から100のレジリエンス都市を選出し、最高レジリエンス責任者(CRO: Chief Resilience Officer)の配置を進めるなど、自然災害や人為的な衝撃、ストレスに対応できる都市づくりを後押ししてきました。日本では、京都市と富山市がレジリエンス都市に選出されています。

このプロジェクトの変化のビジョンは、数世代先まで視野に入れた時間のかかるものですが、 7月に発表された報告書『レジリエンスな都市、レジリエンスな暮らし』によると、6年の間に以下の変化を生み出しています。

・合計135名がCROの役職につきました。そのうち89名は現役です。
・70を超える都市・地域で包括的な戦略がたてられ、そこには3,500以上の具体的なプロジェクトや計画が含まれています。
・1万時間以上が、CROに対するトレーニングや優良事例の紹介、都市のレジリエンスをみんなで築く世界的な活動のために使われました。
・254億ドル以上が、レジリエンス関連のプロジェクトなどに使われました。こうしたお金は、市から直接支払われている場合もあれば、国や地方政府によって支払われている場合、あるいは企業やさまざまな団体からの寄付や投資によって賄われている場合もあります。

なお、ロックフェラー財団は、CROと100都市の取り組みに対して、800万ドルの支援を継続することを発表しています。

(新津 尚子)

100のレジリエンス都市について詳しくはこちら(英語)
http://www.100resilientcities.org/

報告書『レジリエンスな都市、レジリエンスな暮らし(Resilient Cities, Resilient Lives)』はこちら(英語)
http://100resilientcities.org/wp-content/uploads/2019/07/100RC-Report-Capstone-PDF.pdf

【プロジェクト】市民科学の力で海面上昇に立ち向かう

(Shareableより)

米国の海沿いの地域では、海面の上昇によって、気候変動の影響が直接肌で感じられるようになりつつあります。一刻の猶予もないこの問題に取り組むには、海面上昇や洪水の程度を慎重に記録する必要がありますが、すべての地域に研究者がいるわけではないため、問題の全体像を見極めることは困難です。こうした状況の中、カリフォルニア州では、実態の調査に市民科学の力を利用するという解決策が見つけ出されました。 

カリフォルニア州沿岸委員会の「キング・タイド・プロジェクト」では、誰でもアクセスできるプロジェクトの地図上に、地元の市民科学者たちが撮影した写真を掲載して、海面上昇の状況を示しています。市民はカメラとスマートフォンさえあれば、撮影した海面上昇の写真を委員会に提出し、データベースに入力してもらえます。同プロジェクトのパートナーである海洋保護協議会(the Ocean Protection Council: OPC)のホイットニー・ベリー氏は、「市民科学は博士号や修士号がない人でも、長年にわたりその地域を知っていて、親しみをもっていれば、誰でも参加できるものです」と話します。

プロジェクトには、研究者にとってだけでなく参加したコミュニティにとっても、気候変動に関する科学的知識や批判的な思考が養われるというメリットがあります。市民科学者たちによって撮影された写真は、研究者や政策決定者にとって価値のある「変化を表す生きた記録」だと、ベリー氏は話しています。 

この記事の原文はこちら(英語)
https://www.shareable.net/addressing-sea-level-rise-through-citizen-science/

※この記事は2019年6月にShareableに掲載されたCasey O'Brien氏の記事(Addressing sea level rise through citizen science)の要約です。

【アワード】レジリエンス研究の第一人者ブライアン・ウォーカー教授、ブループラネット賞を受賞

旭硝子財団が、毎年、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした人物や組織に授与している「ブループラネット賞」の授賞式が、2018年10月14日、国連大学で行われました。

今年の受賞者の一人は、オーストラリアのブライアン・ウォーカー教授。ウォーカー教授は、社会−生態システムでのレジリエンス概念の開発に大きな貢献をした人物で、授賞式では「レジリエンス思考の科学と実践」という演題で講演を行いました。

http://www.af-info.or.jp/blog/b-info/201827-2.html

【プロジェクト】「100のレジリエンス都市」の発足から5年、増加するレジリエンス強化の取り組み

都市のレジリエンス強化に向けた、ロックフェラー財団による「100のレジリエンス都市」プロジェクトの発足から5年が経ち、世界中から選ばれた100の加盟都市では積極的な取り組みが行われています。

市のレジリエンス戦略の構築のためにサポートを行う、CRO(最高レジリエンス責任者)が84都市で活動しています。そのうちニューヨークなど40都市がこれまでに、レジリエンス向上の未来に向けたロードマップを発表してきましたその中には喫緊の課題や慢性的な問題に対処して繁栄するための都市能力の改善を目標にした2,000以上のプロジェクトやイニシアティブが報告されています。

また、長期的な観点に立って、組織化や投資にレジリエンスを考慮に入れる動きも現れています。エチオピアのアディスアベバなどでは、市にレジリエンスの部署が創設されました。また、米国のピッツバーグなどでは、「レジリエンス戦略」が投資の基準として利用されています。

2050年には世界人口の約70%が都市に住むと予想されており、特に発展途上国の都市が急拡大しています。不公正、気候変動、貧困などの差し迫った問題に対応するために、これまで以上に、都市開発にレジリエンスの視点を取り入れる重要性が増しています

(佐々とも)

この記事について詳しくはこちら(英語)
http://www.100resilientcities.org/5-years/?utm_medium=email&utm_source=RockefellerCentennial&utm_content=2+-+Read+more+about+what+wersquove+accomplis&utm_campaign=20170517_mb5year_global&source=20170517_mb5year_global

【プロジェクト】世界100都市レジリエンスの向上を加速、新プロジェクト発足

2018年2月、都市のレジリエンス向上を加速させるための新たなプロジェクト「レジリエンス・アクセラレータ(Resilience Accelerator)」が、ロックフェラー財団の支援を受けて発足しました。

同財団は2013年に「100のレジリエンス都市」プロジェクトを開始し、自然災害や人為的な衝撃、ストレスに対応できる都市づくりを後押ししてきました。今回のプロジェクトではその一環として、米国コロンビア大学の建築・都市開発の専門家とパートナーシップを結び、この取り組みを強化していきます。

気候変動の影響がますます深刻化する中、これからの都市づくりには、適応性・柔軟性・公正性が求められます。新プロジェクトの戦略には、レジリエンス戦略・計画立案に向けた多様な専門家たちによる研究会の開催や、都市リーダーと研究者・技術専門家を結び付けるネットワークの構築が盛り込まれました。

「これまで私たちは、政府とNGOと民間セクターの協力関係を築き、都市が抱える問題の解決策を見出そうとしてきた。そしていよいよ、実際に解決に乗り出す時が来たのだ」と同財団のマイケル・ベルコビッツ理事長は語りました。都市レジリエンスの取り組みは、新たな段階を迎えています。

(佐々とも)

「レジリエンス・アクセラレータ(Resilience Accelerator)」についてはこちら(英語)
http://www.100resilientcities.org/resilience-accelerator/

【報告書】オーストラリアの都市が気候レジリエンスを実現するには:2040年への道筋

(Shareableより)

2040年に向けて、気候変動に直面するオーストラリアの都市が、いかに素早く低炭素社会を実現し、レジリエンスを高めることができるかの道筋を概説した最新の報告書『ビジョンと道筋2040:低炭素社会へのシナリオと道筋(Visions and Pathways 2040: Scenarios and Pathways to Low Carbon Living)』が、2017年12月に発表されました。報告書では、劇的な炭素排出削減に向けて、都市が進むべき2つの道筋として「コモンズ・トランジション(共有への移行)」と「グリーン成長」を挙げています。

「コモンズ・トランジション」には、大幅な消費削減や民主的・参加的コミュニティへの移行も含まれています。その実現には、「コモンズ的システムの管理において、市民とコミュニティが、同僚としての共通の利益のために、高い知識を自ら生み出し適用すること」としています。また活動においては、成長のあと(post-growth)の社会モデルがどのように機能するかを想像させる試みもしています。

「グリーン成長」への道筋では、都市での活動が、現行の経済や政治のフレームワークの範囲内で、政治的な変革をいかに引き起こせるかを調査しています。そのビジョンは、「急速な炭素削減に向けた企業革新を奨励するために、正しい政策環境を確実に整えること:政府と企業の協同」としています。

持続可能でレジリエンスの高い都市への変革の原動力となりうるのは、都市の課題に対し、コミュニティ・オーナーシップという民主的な形態と連動した市民主導の解決策や共同ガバナンスであることは、こうした情報や運動の台頭を見ればあきらかです。

この記事の原文はこちら(英語)
https://www.shareable.net/blog/new-report-imagining-commons-transition-in-2040

【書籍】『コミュニティ・レジリエンス読本』出版される

(ポスト・カーボン研究所より)

持続可能性やレジリエンスに関する情報を発信する、米国のシンクタンク、ポスト・カーボン研究所から『仮邦題:コミュニティ・レジリエンス読本:大変動の時代に必要な力』(原題:The Community Resilience Reader: Essential Resources for an Era of Upheaval)という書籍が出版されました。

国や地球規模での努力にもかかわらず、気候変動の防止、化石燃料からの切り替え、格差の是正といった課題は、解決されていません。私たちはコミュニティレベルのレジリエンスを高めることで、こうした問題や、より複雑化しつつある問題に立ち向かわなくてはなりません。

この書籍では、21世紀に人類が直面している問題への新たな視点や、レジリエンスの科学の基本的な手法、そしてコミュニティ問題に現場で取り組む活動家や、学者、解説者たちの知恵などを、併せて紹介しています。この書籍を読めば、「レジリエンスはゴールではなく、過程である」「レジリエンスを備えるためには、適応を学ぶだけでなく、変化に備えることが必要」「レジリエンスは、コミュニティに住む人々と共に始まり、終わるものである」ことがわかります。

具体的には、専門家たちによる「第1章  コミュニティ・レジリエンス構築のための六つの礎」「第2章 環境危機:人間の需要vs地球の限界」「第13章  バーモント州から学ぶ食料システム」といった文章が掲載されており、社会のあらゆる側面から、コミュニティのレジリエンスを構築するアイデアを知ることができます。

この記事の原文(英語)を読む
http://www.postcarbon.org/publications/community-resilience-reader/

【報告書】タイのバンコク、レジリエンスに関する戦略レポート発表

タイの首都バンコクは2017年2月、レジリエンスに関する戦略レポート「レジリエント・バンコク」を発表しました。

バンコクは商業や文化のハブとして繁栄する大都市でありながら、しばしば河川の洪水に見舞われています。また、この10年の間に人口増加など今までにない変化を経験しています。こうした状況を受けて作成されたこの戦略レポートでは、川や運河を単なる脅威としてではなく、都市の将来の一部として受け入れています。

なお、バンコクはロックフェラー財団の「レジリエンスのある100都市」に選出されており、このレポートもこのプロジェクトの一環として発表されました。

『レジリエント・バンコク』はこちら(英語)
http://lghttp.60358.nexcesscdn.net/8046264/images/page/-/100rc/pdfs/100RC_-_Bangkok_-_Resilience_Strategy_PDF.pdf

【講義】レジリエンスをテーマとしたビデオ講義シリーズ、ポスト・カーボン研究所から公開される

ポスト・カーボン研究所のリチャード・ハインバーグ氏は2016年12月、22章からなるビデオ講義シリーズ「レジリエンスを考える:21世紀のこれからに向けてコミュニティーを備える(原題:"ThinkResilience: Preparing Communities for the Rest of the 21st Century")」を発表しました。全体で3時間ほどのこの講義では、持続可能性の危機に直面する中で、コミュニティがどのようにレジリエンスを構築できるのかが扱われています。

この講義シリーズの第1章はこちら
https://education.resilience.org/

【企業】BCM(事業継続マネジメント)の導入、企業に広がる

BCM(事業継続マネジメント)とは、災害時に重要業務が中断しないこと、あるいは事業が中断した場合には目標時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴うリスクを最低限にするための経営管理戦略です。2011年の東日本大震災以降、企業に導入が広がっています。

例えば、2016年3月から本格展開したイオングループの「BCMポータルサイト」は、取引先を含む食品、日用品メーカーなど約50社と連携する取り組みです。グループ関連各社と取引先との情報を可視化し、出荷できる倉庫・商品などの情報を一元管理することで、災害時の物流の混乱を回避し、被災地に必要な物資を迅速かつ効率的に届けることができます。

また内閣府も、BCMのためのサイトを設け、情報提供を行なっています。http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk.html

イオングループのBCMの取り組みについてはこちら
http://www.aeon.info/news/2015_2/pdf/160229R_2_1.pdf

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