レジリエンスを高める

レジリエンス・ニュース

【報告書】レジリエンス・スキャン2014

2015年5月、英国の独立系シンクタンクOverseas Development Instituteは『レジリエンス・スキャン 2014』を発表しました。

「レジリエンス革命」は、国際開発の政策や実施を通して広がりを見せており、そのペースは加速し続けています。この報告書は、レジリエンスの分野における思考や実践の最新の進展状況を報告するものです。

(文献情報) Tanner, T., Bahadur, A.V., Simonet, C. and Betts, H. (2015) Resilience Scan: A review of key 2014 literature, debates, social media, blogs and upcoming events on resilience. Overseas Development Institute, London.

(URL)
http://www.odi.org/sites/odi.org.uk/files/odi-assets/publications-opinion-files/9820.pdf

【方法】変化を生み出すコミュニケーションのために、「レジリエンス物語」プロジェクト

レジリエンスについて人びとに伝える際には、科学的なニュアンスなどの「学問的な壁」や「文化の壁」が立ちはだかります。そのため、新たなコミュニケーション手段が求められています。

2015年7月29日にロックフェラー財団が開催した「レジリエンス概念を伝えるための芸術と科学」をテーマとした昼食会では、Institute for Social and Environmental Transition International(社会・環境移行国際協会)の「レジリエンス物語」プロジェクトの成果が発表されました。

このプロジェクトでは、レジリエンスについての事例を伝える、短くてシンプルなドキュメンタリーや、複雑な事柄をわかりやすく伝えるためのゲームの開発などが行なわれています。

http://blog.i-s-e-t.org/using-art-games-and-narrative-to-communicate-resilience/

大事だけれど、簡単に伝えることが難しい「レジリエンス」の概念を、様々な手法で伝えようというこのプロジェクトなどの取り組みに注目し、日本にも採り入れていきたいと思っています。

【国際会議】イクレイ、レジリエントシティズ・アジア太平洋会議の報告書を発行

イクレイ(持続可能性を目指す自治体協議会)は、第1回レジリエントシティズ・アジア太平洋会議(2015年2月開催)のプログラムと成果をまとめた報告書を発行しました。なお、次回のアジア太平洋会議は、2016年3月にマレーシアで開催されます。

http://southasia2.test.iclei.org/fileadmin/user_upload/SouthAsia/documents/Final_Congress_Report_RCAP2015.pdf

【指標】ニュー・エコノミクス財団、金融システム・レジリエンス指標を発表

2015年6月、独立系シンクタンクのニュー・エコノミクス財団(NEF)は、「金融システム・レジリエンス指標」を発表しました。

金融システムについては、「個々の銀行が資本を増やすこと」がレジリエンスを高めるとされる場合もあります。しかし、この考え方が無視しているのは、複雑なシステムとは「部分」を足し合わせた以上のものである、ということです。この指標では、金融システムのレジリエンスに影響を与える測定可能な要因を用いています。測定された要因は以下の通りです。

1. 多様性:健全なシステムには多様性があります。
2. 相互関連性とネットワーク構造:金融機関同士のつながり方により、危機の広がり方は異なります。
3. 金融システムの大きさ:大きな金融システムは、経済の安定性への脅威となります。
4. 資産の構成:金融資産の種類によっては、好景気や不景気が引き起こされます。
5. 負債の構成:他銀行からの短期の借り入れは、預金に比べて不安定です。
6. 複雑性と透明性:証券化とローンの細分化によって、リスクを分散できます。
7. レバレッジ:銀行の資産と資本の比率は、危機の後に非常に重要な意味を持ちます。

主要国首脳会議7カ国(G7: カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)を対象とした2012年の総合スコア(100点が最高スコア)は、ドイツが73点で1位、日本は71点で2位と金融レジリエンスが高いことがわかりました。なお、最下位は英国の27点、英国は下から2番目の米国の56点を大きく下回る結果となりました。

http://www.neweconomics.org/publications/entry/financial-system-resilience-index

*幸せ経済社会研究所「世界と日本の幸せニュース」より転載*
http://ishes.org/happy_news/2015/hpy_id001796.html

【アワード】レジリエンスジャパン推進協議会、第1回ジャパン・レジリエンス・アワードを開催

レジリエンスジャパン推進協議会は2015年3月15日、「ジャパン・レジリエンス・アワード」の第1回表彰式を、国連防災世界会議の併催イベントとして、仙台市民会館にて開催しました。災害に強い国づくりを目指す、レジリエンスジャパン推進協議会についてお伝えします。

2013年12月11日、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法(以下、国土強靭化基本法)」が公布、施行されました。国土強靭化とは、今後起こり得る大規模災害などに対して、人命を守り、国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず、国民の財産及び公共施設の被害を最小化し、迅速な復旧・復興を可能とする、強くてしなやかな国をつくるということです。

国土強靭化基本法第10条に基づき、2014年6月3日には、国土強靱化に関する施策の推進に関する基本的な計画(以下、国土強靭化基本計画)が閣議決定されました。行政機能/警察・消防等分野、住宅・都市分野、エネルギー分野など、15の施策分野について、それぞれの推進方針を定めています。

国土強靭化基本法の附則には、「国や地方公共団体だけではなく、地域住民、企業、関係団体等も含めて被災状況等の情報を共有すること、平時から大規模自然災害等に備えておくこと及び新たな技術革新に基づく最先端の技術や装置を活用することが不可欠である」と記されており、官民や民間企業同士の連携が重要になることが示されています。

そこで、国土強靭化基本計画を円滑に進めるため、産、学、官、民の知恵を集め、レジリエンス立国を構築していくことを目的として、レジリエンスジャパン推進協議会が2014年7月に設立されました。国土強靭化に関する総合的な施策づくりや、その推進に寄与することに加え、国民の国土強靭化の理解を促進し、行動を誘発する活動も行っています。

レジリエンスジャパン推進協議会は2014年11月、全国で展開されている次世代に向けたレジリエンス社会構築への取り組みを発掘、評価、表彰する制度として、ジャパン・レジリエンス・アワードを創設。強靭な国づくり、地域づくり、人づくり、産業づくりに資する活動、技術開発、製品開発等に取り組んでいる企業・団体からエントリーを募りました。

第1回のアワードには約200件の応募があり、一次選考(書類審査)と最終審査(審査委員審査)を経てグランプリに選ばれたのは、和歌山県田辺市立新庄中学校『「新庄地震学」を中心とした防災学習』の取り組みです。

新庄中学校は、21世紀前半にも発生することが懸念されている南海トラフ地震により、津波被害を受けることが想定されている地域にあります。そこで、津波に対応できる地域住民の育成を目指し、過去の災害被害から学ぶ「新庄地震学」の授業を14年にわたって継続しており、生徒全員が防災の課題に取り組んできました。

その結果、学習経験を積んだ地域住民が徐々に増え、防災意識の高いまちづくりにつながっています。また、地域住民向け発表会や防災カレンダーの配布等を毎年行っており、生徒の主体的な働きかけが、過去の被害の風化を食い止め、現状に応じた地域の防災意識の高揚に結びついています。

ジャパン・レジリエンス・アワードは今後も継続して開催され、次回エントリーは2015年10月~12月に予定されています。

※JFS記事 (2015年9月6日)より転載※
http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id035354.html

【国際会議】アジア太平洋レジリエンス・イノベーション・サミット&博覧会、ハワイで開催される

2015年8月24日から26日にかけて、アジア太平洋レジリエンス・イノベーション・サミット&博覧会(The Asia Pacific Resilience Innovation Summit and Expo)がハワイで開催されました。この会議では、エネルギー、農業、水、安全といったグローバル・レジリエンスの柱に関わっている技術分野と政治分野のリーダーらが集まり、この地域のレジリエンスに関するテーマを中心に、
議論を展開しました。

http://www.resiliencesummit.com/about/

【都市】レジリエンスのある100都市、立候補都市の受付を開始

レジリエンスのある都市づくりを進めている 100 Resilient Citiesは2015年7月21日、レジリエンスのある100都市を選定するため、立候補都市の受付を始めたことを発表しました。これまでの2年間にすでに世界中から67都市が選ばれており、今年選ばれるのは残りの33都市です。申し込み期間は11月24日まで、当選都市の発表は2016年の頭の予定です。選ばれた都市は、財政的支援やレジリエンス戦略を遂行するためのサポートなどを受けることができます。

申し込みはこちらから(英語)
http://www.100resilientcities.org/pages/100-resilient-cities-challenge#/-_/

http://www.100resilientcities.org/blog/entry/building-cities-for-tomorrow-the-final-100-resilient-cities-challenge#/-_/

【書籍】Principles for Building Resilience(『レジリエンスを構築するための原則』)

2015年4月、Principles for Building Resilience : Sustaining Ecosystem Services in Social-Ecological Systems(仮訳:『レジリエンス構築のための原則−−社会・生態システムの中で生態系サービスを支える』)というタイトルの書籍が出版されました。この書籍は、ストックホルム・レジリエンス・センターの「レジリエンスを構築するための7つの原則」(多様性と冗長性の維持、関連性の管理、緩やかに変化する変数とフィードバックの管理、複雑で適応型のシステム思考の育成、学びの奨励、参加の拡大、多元的な統治システムの促進)を中心に書かれています。

http://www.cambridge.org/se/academic/subjects/life-sciences/natural-resource-management-agriculture-horticulture-and/principles-building-resilience-sustaining-ecosystem-services-social-ecological-systems

http://www.stockholmresilience.org/21/research/research-news/2-19-2015-applying-resilience-thinking.html

【インタビュー】シンガポールの国家開発大臣、社会のレジリエンスを語る

シンガポールの国家開発大臣コー・ブンワン氏は、Urban Solutions誌のインタビューで、コミュニティのレジリエンスは、災害に遭った際の反応で測ることができると答えました。その一例として、阪神大震災の時の日本人の助け合いなどもあげられています。また社会のレジリエンスは、究極的には、人びとの精神によって特徴づけられると述べています。

http://www.clc.gov.sg/documents/books/CLC_UrbanSolutionsIssue7.pdf

【会議】カルガリーの未来都市会議:将来の成長を考慮し、レジリエンスを定義する

2015年6月19日、カナダのカルガリーでP2S(Pathways 2 Sustainability)による「カルガリーの未来都市会議」が開催されました。2020年までに人口がさらに500,000人増加することが予測されるカルガリーでは、コミュニティの資産、社会構造、地域経済、建造環境に対するレジリエンスが求められています。

http://www.sustainabilityresources.ca/p2sycc-about/future-cities-the-resilience-challenge.html

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