幸せ研の活動について

アドバイザー メッセージ

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アラン・アトキソン 氏

コンサルティング会社「アトキソン・グループ」設立者、代表

幸せ経済社会研究所の仲間の皆さんへ

幸せ経済社会研究所設立の瞬間を振り返ると、「成長」という言葉を従来どおりに定義すれば、日本ではすでに10年にわたって経済成長が停滞していました。日本は21世紀に成功を収めるための新しいビジョンを必要としていたのです。
その新しいビジョンには、生産や消費を増やしてGDPを成長させることにひたすら執着するのをやめ、仕事や生活の質、社会や環境を守る者としての務めに対するよりバランスのとれた見方をする方向へとシフトすることも含まれていました。

そこに、地震、津波、原子力発電所の事故が起こりました。

この壮烈で痛ましい瞬間から未来に目を向けるとき、私たちは、幸せ経済社会研究所にとっての戦略上の課題が大きく変化したことを認めざるを得ません。
復興と再建のために資源が動員されるので、おそらく今後数年間に日本の経済成長率は大きく伸びるでしょう。
少なくともGDPという観点からは、強くて活力に満ちた日本経済が復活したように見えるかもしれません(これもGDPの不合理で歪んだ論理です。災害や事故や戦争が起こると、GDPは増加するのです)。

ここは正念場です。
歴史から、破壊的な崩壊の瞬間はひじょうに重大な結果をはらんでいることがわかっているからです。どの意見や考え方・感情が増幅され、支配的になるかによって、国の進む道は大きく異なってきます。
幸せ経済社会研究所にとっての重要な役割の1つは、日本の人々が最も前向きな道、つまり楽観と希望とグローバルな関与の道を見つける一助となるような声や問いを増幅させる手伝いをすることかもしれません。

もう1つ、日本国内から世界へと目を向けたとき、ここにも幸せ経済社会研究所が果たすべき特別な役割があります。

一部で崩壊が起こり再建されようとしているこの時代において、私たちのグローバルな企業活動の規模や、誰もが認識している終わりなき成長への依存をめぐって世界中に広がっているひじょうに深刻な疑問に対し、触媒として最良の働きができるのは日本をおいてほかにありません。
そして、この役割を最もうまく果たせるのは幸せ経済社会研究所をおいてほかにないと思うのです。

幸せ経済社会研究所は、小さな問題ではなく大きな問題と取り組むために設立されました。大変な悲劇が起こったために、この研究所の「存在理由」はひじょうに強固なものになりました。
この研究所が日本社会と積極的に関わる必要性はいっそう高まっており、しかも前倒しで進める必要が生じています。幸せ経済社会研究所が日本の人々が果敢に取り組むのを手助けすべき問題は、いっそう重要で大きなものになっています。

幸せや健康、社会の連帯や環境への配慮は、それ自体が日本にひじょうに古くからある伝統的な価値観であり、「大変に日本らしい」ものといえるでしょう。
それらは、来たるべき経済の波乱の時代において、信頼できる羅針盤となり得るものです。
幸せ経済社会研究所は、このような時代に――まずは何よりも日本の人たちの支援において、しかしそれだけではなく世界への貢献においても――安定に導き、触媒となり、方向づけをするという、小さいながらも重要な役割を果たすことができると信じています。

アラン・アトキソン

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