オランダの労働時間調整法
オランダの労働時間調整法とは、労働者が自分の勤務時間を短縮・延長する権利を認める法律です。1年以上勤務している従業員が2年に1度を上限に、勤務時間の短縮や延長を使用者に要請できるもので、2000年に成立しました。
この法律により、人々はライフスタイルに合わせて、フルタイムからパートタイムへ、パートタイムからフルタイムへと労働スタイルを変えることが出来るようになりました。例えば、子育て期間中はパートタイムで働き、子どもが大きくなった後にフルタイムに戻ることも可能です。
なお同国では1996年に、パートタイム労働者とフルタイム労働者の時給などを均等にする法律が制定されるなど、1980年代前半からパートタイム労働者の待遇改善が進められてきました。日本ではパートタイム労働者は非正規雇用であることが一般的ですが、オランダでは正規(パーマネント)労働者です。(なお、1年など期限付きで働くフレキシブル労働というスタイルもあります。)
また、フルタイムの仕事を見つけられなかったためにパートタイムで働く人を「非自発的パート」とよびますが、OECDの統計によると、オランダではパートタイム労働者の中での非自発的パートの割合は、1990年には18%だったのが、2012年には6.5%になっています。
それに対して厚生労働省が行った『平成23年パートタイム労働者総合実態調査結果』によると、日本ではパートタイムで働く理由(複数回答)について、「正社員として採用されなかったから」と回答した人が7.4%、「正社員としての募集が見つからなかったから」と回答した人が13.3%、「家庭の事情(育児・介護等)で正社員として働けない」と回答した人が13.9%いました。
□参考
長坂寿久, 2001, 「経済の発展・衰退・再生に関する研究会報告書 第3章 オランダ」
権丈 英子, 2008, 「改正パートタイム労働法のインパクト」
権丈 英子, 2011, 「オランダにおけるワーク・ライフ・バランス」
厚生労働省, 2011,「平成23年パートタイム労働者総合実態調査(個人調査)の概況」
OECD StatExtracts