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SROI(Social Return on Investment)

ビジネスの世界でよく使われる指標にROI(Return on Investment:投資利益率・投資対効果)があります。ROIは、投資した費用(インプット)から、どれくらいの利益や効果が得られるのかを示す指標です。ROIでは、売買できるものの価値は測ることができますが、それ以外の社会的価値や環境的価値を測ることはできません。

それに対してSROI(Social Return on Investment)は、売買されていないものも含めた社会、環境、経済の成果を測定するための枠組みです。社会的価値や環境的価値を含めて総合的に評価することで、不平等や環境悪化を減らし、ウェルビーイング(幸福)を向上させる助けとなります。

SROIは以下の計算式で算出されます。
SROI=アウトカム(成果)÷インプット(投資した費用)

金銭化されていない社会・環境的な価値を、SROIの計算式に当てはめられる数字に、どのように置き換えるのでしょうか。

わかりやすい例で考えてみましょう。高齢者の健康増進のプロジェクトを実施したとします。このプロジェクトの目標は「高齢者が健康になること」です。こうした活動によって生じた変化をアウトカム(成果)と呼びます。「高齢者が健康になる」という成果は、「病院に行く回数にどれくらい変化があったか」について参加者に聞くことで測ることができます。通院が減った回数が分かれば、削減された医療費を用いて金銭換算することが可能です。こうして金銭換算することで、SROIを計算できるようになります。

なお、プロジェクトを行うためには、スタッフを雇用する費用や会場費などが必要です。こうした必要なコストがインプット(投入)です。SROI値が1よりも大きければ、投資した費用よりも成果のほうが大きいことになります。

SROIは1997年に、米国のRoberts Enterprise Development Fund(REDF)が開発を始めました。その後、ヨーロッパ主導の取り組みにより現在の形に発展しました。特に英国では、政府が2009年にSROIのガイドブックを発表するなど、動きが活発です。

SROIは社会的インパクト評価の一手法です。経済的な価値だけでは評価しきれないNPOやCSRの取り組みなどを評価する際に、SROIをはじめとした社会的インパクト調査は大きな武器となります。

(新津 尚子)

参考資料

UK Cabinet, 2009, A guide to Social Return on Investment

The SROI Network, 2012, A guide to Social Return on Investment

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