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産業連関表

産業連関表とは、経済分析の代表的な手法で、ある地域(国や都道府県、市町村など)で一年間に行われた産業間の売り買いの関係性(つまり、産業連関)を一覧表にしたものです。表1は日本の産業連関表を抜粋したものです。表1は全産業を13部門にまとめたものですが、37部門、107部門などさらに細かい産業連関表も政府は提供しています。

表 1 産業連関表の例(平成23年 産業連関表 基本取引表13部門 抜粋)
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「産業連関」とはどういうことか
ある産業の経済活動を行うためには、他の産業から原材料などを仕入れる必要があります。例えば飲食店は、食べ物や飲み物、エネルギーなどを、さまざまな産業から購入しています。そしてある産業で生産されたモノやサービスは、他の産業に販売されます。農作物であれば、生産物は卸売業者に売られ、さらに小売店や飲食店、宿泊業などに売られていきます。産業連関表はこうした関係性をまとめたもので、サプライチェーンのつながりを一覧表にしたものということもできます。

産業連関表によってわかること
産業連関表を作成することで、その地域における各産業別の生産額(≒売上)や企業利益、給与といった粗付加価値(≒GDP(域内総生産))を把握することができるほか、黒字部門、赤字部門がわかります。また、あるイベントを行った際の経済波及効果や税収効果等も、産業連関表から推計することができます。

また、産業連関表によって「地域からのお金の漏れを把握する」こともできます。産業連関表には、各産業について、移輸出(地域内で生産された商品が地域外に販売されること)の金額と、移輸入(地域外で生産された商品が地域内で販売されること)の金額が記載されています。その差額を計算することで、地域外にお金が漏れているかどうかと、その金額がわかります。

産業連関表の作成と活用
日本政府は産業連関表を5年に1度、発表しています。この国の産業連関表を元にして、都道府県の産業連関表が作成されます。市町村などの地域の産業連関表は、都道府県の産業連関表を切り出す形で作成されます。

産業連関表を作ることによって、経済規模や漏れ穴が把握できることもあり、地域独自の産業連関表を作成する地域が増えつつあります。その一方で産業連関表は専門性が高く、読み方を学ぶ必要があることから、「せっかく作成したのに、うまく活用することが出来なかった」といった声もよく聞きます。

せっかくの産業連関表を「宝の持ち腐れ」にしないためには、産業連関表作成後に事業者を集めた勉強会を開催して、産業連関表の読み方を学んだり、「どうすれば産業からのお金の漏れを減らすことができるのか、ビジネスチャンスにすることができるのか」を考える機会を持つことが重要です。

1年目に産業連関表を作成したら、2年目以降は事業者などを対象にした勉強会やワークショップを行うようなアプローチを取ることによって、産業連関表の見方だけではなく、地域経済についての理解を深めることもできます。

※ワークショップの例として、三陸新報にイーズがまちづくりのお手伝いをしている気仙沼市の記事が掲載されています。記事はこちらからご覧いただけます。

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