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アニマルウェルフェア

アニマルウェルフェアは「動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸福(well-being)な状態でなければならない」という考えを背景として欧米で誕生しました。「動物福祉」と訳されることもありますが、最近ではカタカナのまま使われることが増えています。


例えば日本では、ほとんどの採卵鶏(卵を産むために飼育されている鶏)は、「バタリーケージ」と呼ばれるおよそB5サイズほど大きさの檻に閉じ込められたまま一生を過ごします。また、多くの母豚も、妊娠ストールとよばれる檻の中で身動きが取れない状態に置かれています。アニマルウェルフェアは、もともとこうした近代畜産の現場での家畜飼育の残虐性を受け、家畜の分野で発達した考え方です〔ただし、現在ではその対象は、家畜のほか、愛玩動物、展示動物(動物園等)、実験動物にまで広がっています〕。


アニマルウェルフェアの基本原則としては、1960年代に英国で生まれた
 (1)空腹および渇きからの自由
 (2)不快からの自由
 (3)苦痛、損傷、疾病からの自由
 (4)正常行動発現の自由
 (5)恐怖および苦悩からの自由
の「5つの自由」が知られています。


世界的にみると、EUでは「個人の権利の尊重」で知られているアムステルダム条約(1999年施行)で、アニマルウェルフェアにも配慮することが求められており、EUとして様々な取り組みや規制を行なっています。世界的には企業の動きも盛んで、特に採卵鶏を狭い檻に閉じ込めることなく育てる「ケージフリー」の卵に今後切り替えることを宣言する企業が増えています。例えば、イケア、コストコ、マクドナルドなどは世界拠点でもケージフリーに切り替えることを宣言しています。


日本は欧米と比べると取り組みが遅れているのが現状ですが、少しずつ取り組みが進んでいます。2014年に農林水産省のサイトに「アニマルウェルフェアについて」というページが設置されました。企業もネスレ、フォーシーズンズホテルズ&リゾーツ東京丸の内、京都が2025年までにケージフリーの卵に切り替えることを宣言しています。それでも2020年の東京オリンピック・パラリンピックの選手村などへの食料調達のアニマルウェルフェアの基準は、ロンドンオリンピックやリオデジャネイロオリンピックよりも、低い水準になることが懸念されています。


アニマルウェルフェアの現状について更に詳しく知りたい方は、下の参考資料をご参照ください。


岩波書店『世界』no.896 2017年6月号「私たちの食べている卵と肉はどのようにつくられているか―世界からおくれをとる日本」(前編)
https://www.es-inc.jp/library/writing/2017/libwri_id009042.html

岩波書店『世界』no.896 2017年6月号「私たちの食べている卵と肉はどのようにつくられているか―世界からおくれをとる日本」(後編)
https://www.es-inc.jp/library/writing/2017/libwri_id009043.html

プレスリリース:9割の人が知らない「アニマルウェルフェア」 ~消費者の意識と行動が企業の動物福祉の取り組みを変える~
https://www.ishes.org/news/2017/inws_id002105.html

木香書房 臨時増刊 鶏の研究 アニマルウェルフェア⑥ 2018年8月15日発行 No.25 「アニマルウェルフェアに対する日本企業の取り組み・消費者の認識」
→記事はこちらから

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『アニマルウェルフェアとは何か――倫理的消費と食の安全』
(枝廣 淳子/岩波ブックレット)
 

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