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サーキュラー・エコノミー(循環型経済)

サーキュラー・エコノミーとは、徹底した回収・リサイクル、省資源製品の開発、シェアリングなどを推し進めることで、できるかぎり新たな天然資源の使用と廃棄物を減らす経済システムです。2015年12月にEUがサーキュラー・エコノミーの行動計画を採用したことから、ヨーロッパを中心に取り組みが進んでいます。

サーキュラー・エコノミーには5つのビジネスモデルがあると言われています。
(1)サーキュラー型のサプライチェーンを実現するモデル:再生可能エネルギーやバイオプラスチック、あるいはリサイクル可能な金属などを原材料やエネルギーとして使用する。
(2)回収とリサイクルを行うモデル:製品と廃棄品のうち、価値のある資源を回収・再利用する。
(3)製品寿命を延長するモデル:消費者に買い替えを求めるのではなく、耐久年数が長い製品を開発し、アップグレードや修理を提供する。
(4)シェアリング・プラットフォームを提供するモデル:モノの所有者とモノを使いたい人とを結びつけるプラットフォームを提供する(エアビーアンドビーなど)。
(5)製品を売るのではなく、サービスを提供するモデル:製品を貸出し、繰り返し再利用・リサイクルする(自動車のタイヤをリースで提供するビジネスなど)。
(『サーキュラー・エコノミー デジタル時代のビジネス戦略』をもとに作成)

このように「サーキュラー・エコノミー」のモデルには色々なタイプがあります。もう少し具体的に見てみましょう。

ある産業から出る廃棄物は、他の産業にとっては原料になることがあります。例えば、スターバックス社は、コーヒーを抽出した後の「豆かす」を発酵させ、乳牛の飼料にするシステムを、メーコン社と協力して開発しています。これは、(2)の「回収とリサイクルを用いるモデル」に相当します。

また、日本の自家用車の稼働率は5%程度といわれています。この数値は一日のうち30分以下しか自家用車が使われていないことを示しています。このような遊休資産を活用することができるのが(4)の「シェアリング・プラットフォームを提供するモデル」です。

(新津 尚子)

参考文献
レイシー, ピーター、ルトクヴィスト, ヤコブ(著), 2016, 『サーキュラー・エコノミー デジタル時代のビジネス戦略』, 日本経済新聞出版社

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