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3つの経済(貨幣・共同・自給)

地元学で有名な吉本哲郎さんは、経済には3つの種類があると言います。一つは「お金の貨幣経済」、二つ目は「手伝い合う結、もやいなどの共同する経済」、三つ目は「家庭菜園で野菜をつくり、先祖に供える花も育て、海・山・川の幸を採取して食べたりする自給自足の経済」です(吉本哲郎『地元学をはじめよう』より)。

「経済」というと貨幣経済のことを一般的には指しますが、高度経済成長期までは共同する経済と自給自足の経済も、経済の中で大きな役割を担っていました。でも今では、大都会ほど、お金がなければ生きていけない社会になっています。

その一方で、大都会以外に目を向けると、自家栽培の野菜を食べていたり、おすそ分けが盛んに行われている地域がたくさんあります。自家栽培やおすそ分けによって得ている分の野菜は、購入する必要がないので、その分、お金を節約していることにもなります。また、おすそ分けのネットワークは、いざというときの助け合いの基盤にもなるでしょう。

こうした非貨幣経済の大きさは、貨幣経済を調べるための一般的な経済調査では測ることはできませんが、自家栽培やおすそ分けが、どの程度行われているのかを調べることで「見える化」する事が可能です。

(新津 尚子)

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