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クルミドコーヒー店主、株式会社フェスティナレンテ 代表取締役 影山知明 聞き手 枝廣淳子 Interview16

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枝廣:
クラウドファンディングとかソーシャルバンキング、ソーシャルファイナンスみたいなのは、利子のためだけはない価値を生み出す動きもたくさん出ているし、そういう方向が1つの主流になっていくといいなと思います。
もう1つ、主流の今の貸し借りの世界ですよね。マイナス金利になったときに、お金をどこかに融資したから、プラスになって返ってくるということ自体、想定できない時代になったときに、これまでの主流はどうなるんですか。
影山:
おそらくマイナスの金利にはなっても、ほかの運用方式よりも金銭的にメリットがあると思ってそれが選ばれることはあるでしょう。長期国債の利回りがマイナスになっているという現状があるので、そこは同じようにマイナスに見えるけど、金銭的な理屈で動いているということは変わってないと思います。
僕は、これからということで考えると、お金が増えればいい、それだけじゃないよねという選択肢が、今、ミュージックセキュリティーズがやっている範囲で言うと、年間10億円くらいの規模です。でも、東京証券取引所が扱った金額は、正確にはわからないですけど、とんでもない額です。まったく比較にさえならない。ましてや、寄付型のクラウドファンディングになると、より小さい。
でも、こういうものの変化は、合気道的なところがあると思っていて、直線的には変わっていかないと思います。つまり、10億円が15億円になり、30億円になり・・・みたいになって、1つの会社に限らず、そういう制度がほかにも増えて、それがある閾値を超える、そうなったとき、ぐっと世の中が変わることが起こるような気がしています。運用や金銭的な利回りだけでない判断軸でお金を動かすということが、実は、気づいたらよりメジャーな動きになるというのは、どこかの瞬間で起こり得ると思っています。
また別の観点で、世の中の成長や幸福度みたいなことは、GDPだけでは測れないということが記事で書かれていましたけど、本当にそうだと思います。今言ったみたいな複線的な価値の交換ができる資本市場ができると、ひょっとしたらGDPは減るかもしれないと思いますが、でもGDP以外の価値、経済以外の価値が、その分増加していると捉えられると思うので、総体的に見れば価値は増えているということはあると思います。
枝廣:
いろいろな状況で、これまでの幸せな思考停止が許された状況が続かなくなって、一人ひとりが考えなければいけない状況になってきました。それは、お金の意味もそうだし、経済などが、自分たちが何を目指すとか、それが果たしてGDPで、そのままでいいのかということ。緩やかな思考停止で、これまで幸せにそれができていたんですが、それが溶け始めた時代にいるような気がしています。
そのときに、今おっしゃったような、直線的な変化ではない変化、たとえば「目標はGDPじゃないよね。幸せを測ろうね」という地域や国が増えている、といったようないろいろなものが連鎖し合って大きく変わる時期が、もしかしたら、そんなに遠からずくるのかな、くるといいなと思いました。

(会場から質問をいただきながら、トークは進みます)

Aさん:
「不等価」という言葉が耳に残っていて、すごくわかりやすかったです。それは、不等価になるように意識されてやっているのか、結果として不等価になることの意義を感じられていてやられているか、お伺いしたいと思います。
影山:
ありがとうございます。不等価を狙ってやっているのかという点についてですが、値段がどう決まるかというので言えば、トマトジュースがなぜ850円かと言うと、お店として想定している原価率というのがあります。それを想定したときに、当社の価格はこれくらい取れないと成り立たないというのがあります。
ただ、それが一定見えてきた次のステップで考えるのは、850円であるならば、850円以上の価値を感じてもらうために、僕らが何をできるかという考え方で、等価性を崩していくことをします。かつ、等価性を崩していくやり方を、お店の中で2つカテゴリーを考えています。それは、通常営業と非通常営業です。
さっきのトマトジュースは、期間限定の非通常営業、僕らの通称で言うと「マゾ企画」と呼んでいるものです。ここまでやらなくていいだろうという感じのことを、ある一定時期に限ってやることが、年間に何回かあります。スタッフが毎朝2時に出社し続けるというマゾ企画、これは、極端に等価性を崩していくものです。
ただ、そういうものがあるときに来てくださった方は、より負債感を感じてくださるみたいなことはあるようです。そういうものをエンジンに、通常の営業の中で、通常のメニューの中でも、どう価格を上回る価値をつくり出せるかという考え方でやっています。
Bさん:
クルミドコーヒーをつくった時に、「子どものための場所をつくりたい」という話がありました。少子高齢化という問題がある中で、クルミドコーヒーを起点にして、子どもと地域の関係性をつくったり、問題解決をする、明るい地域をつくられたいというような意識はあるでしょうか。子どもという観点でお聞きしたいと思います。
影山:
子どもたちのことについていうと、クルミドコーヒーは「子どもたちのためのカフェ」という言い方をしています。子どもというのは、文字通りの子どもという意味ももちろんありますが、実は、僕としての力点の置き方は、大人の中に眠っている子どもたちというイメージも強いんです。
なぜかと言うと、今、世の中がこんなにおかしくなっているとするならば、たいがいは、大人が理性的な頭で考えたことが原因で、それらは大体間違っているという気がしています。子どもに言っているような、すごくシンプルな原則みたいなことを大事にしていったら、世の中こんなにおかしくならないと思うんですね。
皆さん、誰しも、子どもに向かって「ウソをついていいよ」とは言わないじゃないですか。でも、大人たちが背中でそれを示せているかと言うと、相当怪しいです。「周りに対して感謝の気持ちを示さないといけないよ」と言っていても、大人はやっていない。そういうことがすごく残念だなと思って。僕らも筆頭だけれど、それぞれの大人の中に、眠っている子どもたちに働き掛けるように、そこにウソをつかないようにやっていくということの、1つ象徴として、「子どもたちのためのカフェ」という言い方をしているということがあります。
ただ、もちろん子どもたちともいろいろやっていきたいと思っていて、お店の企画で、今は月1回ですけど、お店の開店準備、お店をオープンさせるための掃除とか、テーブルセッティングなどを子どもたちと一緒にやるという企画を定期的にやっています。
子どもたちというのが、どちらかと言うとお客さんというよりも、未来を一緒になってつくっていくパートナーという感覚で思っているので、「一緒にやろうぜ」という感じで子どもたちの手を借りていますし、外部のイベントに出店するときなども、子どもたちに手伝ってもらったりもします。
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