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Case.25

「捨てるという概念を捨てる」、テラサイクルによるリサイクルとリユースの取り組み

私たちは毎日、大量のゴミを捨てています。このような状況の中、「捨てるという概念を捨てよう」というミッションのもと、歯ブラシやタバコの吸い殻など、一見リサイクルができなさそうなものまでリサイクルしてしまう取り組みがあります。今回の「注目の取り組み事例」でご紹介する「テラサイクル」です。

テラサイクルは2001年に、当時プリンストン大学の学生だったトム・ザッキーによって、「廃棄物という概念を捨てよう」というミッションの元に、設立された組織です。現在では、20か国以上に活動は広がり、回収協力者数は6,000万人以上、回収したモノの数は37億個にもなります。

テラサイクルの特徴は、リサイクルできないように思えるものをリサイクルしてしまうことです。ウェブサイト(米国)を見ると、無料の回収プログラムとして、コンタクトレンズ、ポット型浄水器、タバコの吸い殻、歯磨きのチューブや歯ブラシ、楽器の弦など様々なリサイクルプログラムが提供されています。これらのプログラムは、スポンサーの協力によって、無料で提供されています。

例えば、タバコの吸い殻を集めるプログラムでは、吸い殻のほか、フィルター、タバコの包装紙、箱の外側の透明のビニール、箱の内側のホイル紙、タバコの巻紙、そして灰までが回収の対象です。集められた吸い殻のうちは、フィルターはプラスチック製品にリサイクルされ、灰や刻みたばこなどは肥料として再利用されます。

この無料の回収プログラムの他に、テラサイクルでは、有料のZero Waste Box プログラムも提供しています。このプログラムは、リサイクルしたい資源のリサイクルボックスを購入し、資源の回収が終わったら、ボックスをテラサイクルに発送するというシステムをとっています。

このプログラムで回収できる資源も、ペン、旅行カバン、ボール、アクションフィギュア、髪の毛など本当に様々です。例えば、ペンを回収するためのリサイクルボックスは、一番小さな「ポーチタイプ(20cm×25cmほどの大きさの袋)」の場合、回収した資源をテラハウスに発送するための送料を含めて42ドルで購入できます。

またウェブサイトでは、誰もがDIYによって資源をリユースできる方法も紹介しています。例えば、「歯磨きのチューブを使った、歯ブラシホルダーや小銭入れ」、「食品の包み紙をつかった、イースター用の容れ物」、「化粧品が入っていたチューブを使ったイヤリング」など、どれもとてもユニークで芸術的です。

なお、日本でもテラハウスの活動は2014年から始まっています。日本のウエブサイトでは、2017年3月現在、使用済み歯ブラシとタバコの吸い殻の無料回収プログラム、海岸のプラスチックゴミを回収するプログラムが提供されています。回収した歯ブラシによって、日本初のテラサイクル製品として植木鉢がつくられたそうです!  使用済み歯ブラシは2kg(約200本分)からテラサイクル宛に着払いで発送することができます。また、発送された歯ブラシの量に応じてポイントが付与されますが、このポイントは、慈善事業団体に寄付することができます。

テラサイクルの取り組みの特徴は、どれもユニークで、ワクワクするものばかりです。そして、こうした取り組みを通して、テラサイクルは「地球の資源は有限であること」、「資源はリサイクル、リユースすることで繰り返し使うことができること」、そして「まだまだできる工夫があること」を、私たちに伝えてくれています。

(新津 尚子)

 

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