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Case.38

英国の社会的価値法、地域社会や中小企業に恩恵をもたらす

英国では2013年1月から、社会的価値法(Social Value Act)という法律が施行されています。この法律は、公共団体の委員に対して、公共調達を行う際に、地元企業への影響や、地域内での雇用といった「社会的価値」を考慮することを定めたものです。委員には、公共調達を行う際に、社会的価値を考慮したり、この問題について相談したりしたことを、文書で示すことが求められています。

そして、社会的価値法の施行から2年たった2015年2月、英国内閣府によって、社会的価値法を評価する報告書『社会的価値法再考(Social Value Act Review)』が発表されました。

この報告書は、社会的価値法を表面的に守るのではなく、「よりスマートな調達のための道具」として用いている場合、委員は、調達するサービスの長期的なコストや持続可能性を考慮するようになってきていると指摘しています。

また、報告書によると、社会的価値法は、地域社会や小規模な組織(企業など)にプラスの影響をもたらしています。たとえば、委員や供給者を対象にして行われた調査では、この法律が、地域社会に対してよい影響をもたらしていると考えている回答者は60%以上、地域経済に良い影響をもたらしていると感じている回答者は82%、そして地域の企業によい影響をもたらしていると考えている回答者は72%でした。

その他にも、サプライチェーンにおいて地域の企業の採用に恩恵があったという回答が70%、若者や不利な立場にある人々の雇用に対して恩恵があったという回答が75%など、様々な領域への恩恵が報告されています。

また、小規模な組織(任意団体や企業)への影響としては、ロンドンのランベス自治区では、全体としては地方自治体の支出を減らしながら、中小企業への支出を1億5,900万ポンドから1億8,000万ポンドに増やしています。同様に、イングランド北東部のダラム市では支出を3,000万ポンド減らす一方で、支出の半分以上を中小企業に行っており、そのうち31.4%を小規模企業や零細企業への支出が占めています。

しかし、問題点もあります。地方自治体や任意団体などが、この法律を知っている割合が高い一方で、小規模企業の多くが、社会的価値法のことを聞いたことがないなど、周知について、さらなる取り組みが必要であることが明らかになりました。また、中央政府では、ほとんどの部局で、この法律に合わせて全体的な調達のガイドラインを修正しているにもかかわらず、各部局の調達チームにはこのことが広がっていないことがわかりました。

また、この報告書では、社会的価値を測定する方法として、SROI(社会的投資収益率: social return on investment)や費用対効果分析(cost-benefit analysis)、幸福度・満足度調査といった方法があることも紹介しています。

(新津 尚子)

 

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