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2018.06.01

地域再生:コーポラティブという考え方を投資に生かす

2013年に全米最大規模といわれる財政破綻に陥ったミシガン州デトロイト市。破綻後、行政機能が不全となった市の復興を後押ししてきたのが、住民や民間企業による画期的な活動でした。今年、新たに「投資」と「コーポラティブ(協同)」いう切り口から、住民参加を促すプロジェクトが始動します。

このプロジェクトを率いるのが、スタートアップ企業の「コーポラティブ・キャピタル(Cooperative Capital)」。住民が資金を出し合い、住民の意見を反映させて、地元に投資する、「協同型のプライベート・エクイティ・ファンド」と同社は説明しています。例えば、空きビルに再び活気を取り戻す、あるいは将来有望なビジネスを起業するなど、コミュニティには地域再生を実現させるために必要な投資の機会が数多くあります。一方で、もっと住みよい街にするために投資したいがまとまった資金がない、と考えている住民は少なくありません。「資金を必要としているコミュニティ」と「地元のためになる投資をしたい住民」の願いを同時に叶えることが、このプロジェクトの狙いとしています。

その仕組みは、
1.委員会を立ち上げ、その委員会が投資対象を調査・格付し、上位五つを決定する。
2.参加者は最低1000ドルから投資ができ、1000ドルにつき1票を投じることができる(最高10票まで)。
3.参加者は毎月、上位五つの投資対象のどれかに投票する。
4.コーポラティブ・キャピタルが、投票で選ばれた投資対象のデューディリジェンス(投資のリスクを把握するための事前調査)を行い、年率6%のリターンが得られる投資であるかどうかを見極めてから、投資を実行する。
となっています。参加した住民は少額の投資を通じて、地域再生に貢献し、利益を得られるというわけです。

コーポラティブ・キャピタルは、このプロジェクトをミシガン州全体に広げ、不動産だけでなく地元企業も投資対象として視野に入れています。ミシガン州のミッドランドではコミュニティと共同で、不動産とビジネスの両方を投資対象としたプロジェクトの展開を模索。例えば、住民から預かった投資資金を、新しくカフェやレストランを開きたいと思っても銀行からの融資が受けられない起業家に投資し、ビジネスが成長して生まれた利益を投資家に分配する、というものです。これは、投資家となった住民は直接的な経済的利益だけでなく、間接的な社会的・政治的利益を得られ、起業家は成功するために必要な資金を確保できるという、双方が得をする仕組みとも言えます。

「住民が協力して、お金を出し合って投資し、だれもが利益を手に入れられる方法で、自分たちのコミュニティを築ける環境を整えることが目標だ」と、CEOのクワック・オセイは述べています。

(佐々とも)

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