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世界
2023.09.05

気候変動、司法の場での闘い:気候変動訴訟の世界動向

英グランサム気候変動・環境研究所は2023年6月、気候変動訴訟の世界動向に関する最新報告書を発表しました。報告書によると、気候変動訴訟は世界で少なくとも2341件(2023年5月31日時点)確認されており、過去1年間にやや減少したものの、2015年のパリ協定以降、増加しています。

最近の傾向として、NGOや個人が訴えを起こす事例が増えています。気候ガバナンスの決定から除外されたり、それに不満だったりするグループが、交渉のテーブルにつくためのツールとして訴訟を利用するなどしているのです。

気候変動訴訟には主に、

  • 政府に、気候政策を改善するよう要求するもの、
  • 政府や企業に、気候への考慮と意思決定を結びつけ、有害な政策やプロジェクトを中止するよう求めるもの(新たな化石燃料プロジェクトの開発に抗議する事例が多い)、
  • 公共団体や国営金融機関、民間銀行、年金基金などに、大量に炭素を排出するプロジェクトや活動への資金提供をやめるよう求めるもの、
  • 気候変動に寄与したとされる政府や企業などに、現在・過去の金銭的な損失と損害への補償を要求するもの、
  • 政府や企業に対して、低炭素社会への転換の貢献や気候科学の誤情報に関して的確でない言及や宣伝をする「気候ウォッシング」に抗議するもの、

などです。

暫定あるいは最終的に確定された549件の訴訟のうち、301件(約55%)が原告側に有利な判決でした。気候変動訴訟は今後の対策に大きな変化をもたらすと期待されています。

(佐々 とも)

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