2023年10月、米国コロラド州デンバーで実施中のベーシックインカム・プロジェクトの中間報告書が発表されました。

プロジェクトの目的は、成人850人のホームレスに12カ月間生活費を支給し、どのような効果があるかを調査すること。参加者をＡグループ（毎月1000ドル、合計12000ドル支給）、Ｂグループ（最初に6500ドル＋毎月500ドル、合計12000ドル支給）、比較群のＣグループ（毎月50ドル、合計600ドル支給）にわけて分析しています。

この中間報告書では、支給開始から６カ月間で参加者の住居、金銭的幸福感、社会支援サービスの利用における変化が調査されました。

住居（寝泊まりする場所）

• 路上で寝泊まりした人は、Ａ、Ｂグループとも大幅に減少し、Ａグループはゼロになった。Ｃグループの減少の幅は小さかった
• 賃貸や持ち家に住む人の割合はすべてのグループで増加した

金銭的幸福感

• フルタイムで働く人の割合は、Ａグループはやや増加、Ｂグループは大幅に増加したが、Ｃグループには変化はなかった
• 不安や懸念を抱える人の割合は、Ａ、Ｂグループともはわずかに減少した一方、Ｃグループではわずかに増加した

社会支援サービスの利用

• 社会支援サービスの利用回数については、Ａ、Ｂグループとも減少したが、Ｃグループはやや増加した

こうした発見から、ベーシックインカム導入の成果が期待されます。最終報告書はプロジェクト終了後の2024年６月に発表される予定です。

（佐々　とも）