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2025.09.13

環境負荷の少ない生成AIの開発・展開に向けて:ユネスコ、報告書を発表

環境負荷の少ない生成AIの開発・展開に向けて:ユネスコ、報告書を発表

Smarter, Smaller, Stronger: Resource-Efficient Generative AI & the Future of Digital Transformation
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000394521

生成AIが急速に普及している中、エネルギーや資源の消費が指数関数的に増加することが懸念されています。この懸念を受けて、ユネスコは2025年7月、環境に配慮した生成AIの促進に関する報告書を発表しました。

生成AIはテキストや画像・動画、音楽などのコンテンツを作成し、大規模な計算能力を要します。とくにその基盤モデルとなる大規模言語モデル(LLM)の最新型では、学習時での消費電力量は約50GWhで、途上国の年間電力使用量に相当します。またデータセンターの冷却などのために大量の水が必要になり、2027年にはデンマークの年間取水量を上回る42~66億立方メートルが消費されると予測されています。

実施されたエネルギー節約の実験によると、1)量子化を用いてモデルを軽量化し、計算の複雑性を減らすことでエネルギーを最大44%節約、2)質問と応答を短くすることでエネルギー使用量を50%以上減少、3)小規模言語モデル(SLM)を使用することで最大90%のエネルギーを節約できることがわかりました。

報告書では、資源効率の高い生成AIを促進するために、公共・民間の投資や複数の利害関係者の協力を通じてAIを設計段階から環境に配慮した開発・展開を加速することや、エコラベルやグリーン調達基準などの明確なインセンティブや基準を作ること、ユーザーがAIの環境への影響を理解し、プラットフォームの選択や利用のパターンを選択できるようAIリテラシーを進めることを提案しています。

(佐々 とも)

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